障害者自立支援法の施行により「身体障害者療護施設」から「障害者支援施設」へ移行となり、「施設内完結ケア」から「地域資源を活用したケア」への転換が求められています。
その中で施設は、ご利用者様の自立支援を目的にケアが展開されるわけですが、そもそも「自立支援」とはなんでしょうか。施設を出て地域の中で暮らすことだけが自立支援でしょうか。一人ひとりにあった自立支援は無数にあり、例えば「今までは介助を受けていたけれど、自助具を使って練習したら一人でできるようになった」「家族の支援を受けて自宅外泊ができるようになった」など、それらはすべて自立支援です。
自立支援を目指すにあたって重要なキーワードの一つに「施設は、すべての面で安全・安心を保証する場所から、チャレンジできる場所へ」という考えがあります。施設として、安心安全を保証したいという思いから、集団での管理や統制、リスク(危険)の回避を常に考えてしまいがちです。試行錯誤をハイリスクなことと捉えてしまい、ご利用者様の生活の質を考えることより、むしろ危険回避に重点が置かれてしまう傾向があります。しかし、リスクは誰にも付き物です。そのリスクにご利用者様も遭遇する権利があると認識を変える必要があります。障害者支援施設であるからこそ、緻密で個別性のある支援がなされ、アクシデントが起きた時でも柔軟に対応することが可能です。施設はご利用者様の「チャレンジできる場所」であり、多少のリスクを抱えても自己実現しようとすることから生まれる「生活の豊かさ」が、ご利用者様を支える力になります。
相談職の役割の一つにケアプランの作成があります。その目的は、ご利用者様の自立支援の方法を明確化し、ご本人はもちろん支援者が共通認識のもとに支援を行うためのものです。そして、ご家族様に対しては、私たちからのお手紙となるように、心を込めて作成しています。
最後に、施設ケアだけで支援が完結できるとは考えていません。ご家族様のご支援があってこそ、ご利用者様を支えることができると考えています。今後ともご支援とご協力を宜しくお願い致します。
(サービス管理責任者 田中)
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はまのお嬢 (火曜日, 02 9月 2014 22:58)
施設が安心・安全の提供をすることはとても重要ですが、そのことが管理や保護にすり替わってはいけません。誰もが、小さなケガをしたり、ちょっとした失敗をすることはあります。それは日常的なリスクの一つですが、だからといって、日常で行う行為や動作を即座に奪われることはありません。『挑戦すること』も『失敗すること』も誰もが持っている権利ですよね。
管理人 (水曜日, 03 9月 2014 21:17)
はまのお嬢さん、コメントありがとうございます。
「自由」と「管理」の線引き。難しい問題です。
常に「ご利用者にとっての最大限の利益」を考えたいと思います。